[COLUMN] Bridge Note

2023/06/09

素材の話 -木材編①- 「無垢材と突板」

こんにちは、宮地です。

この前、実家で眠っていた漫画
「ドラゴンボール」をかなり久しぶりに全巻読みました。
最後にちゃんと全巻読んだのはまだ学生だった頃かな?

子供の頃は何度も読み返していて、あるあるですが巻数を
パッと言われても大体どの辺の話か言えるレベルでした。
しかし、割と何の気なく読んで(観て)いたのか、
登場人物の細かい心理描写までは
ちゃんと理解できていなかったようで。

※以下ネタバレを含みます。

特に魔人ブ○編、プライドが高く冷酷だったベ○ータが
初めて愛する家族の為に戦う姿、そして死を覚悟した最後
息子トラン○スを不器用に抱きしめる場面には涙しました。
あのベジー○がようやく愛に目覚めたんだ!  と・・・。
昔読んでいた子供の頃は同じ場面でも
「自爆して魔人○ウを倒そうとしたけど無理だった」
という程度の甘い認識でした。
大人になると涙腺が緩くなりますね。
まさか、ドラゴンボールを読んで
センチメンタルな気持ちになるだなんて・・・。

いやー、本当に良い漫画ですね・・・。
皆様もそういった漫画があれば是非読んでみてください。
昔とはまた一味違った楽しみ方ができるかもしれませんよ。

さて、そんなおセンチな宮地が今回お話しするのは、
家具に関する素材のお話。

少し前に倉敷帆布について紹介しましたが、
今回は木材について少しだけ。

当店が扱う家具のほとんどが木材から作られています。
木材を加工した部材も、用途によって種類はさまざま。
その全てを紹介することはできませんが、
ポピュラーなものから大きくふたつ、
「無垢材」と「突板」を紹介いたします。

まずは「無垢材」から。

画像のテーブルの天板が無垢材。側面にも木目が繋がっているのが特徴です。

「無垢材」とは、原木から切り出した
木材を丸ごと使用した「木そのもの」です。
どこをどこまでほじくっても天然の木なので、
最も高価な部材にあたります。
高級感はもちろんですが、かもしだす雰囲気も最高です。
「木の温もり」を感じる上で、無垢材以上の素材は
当然ながら無いでしょう。

当店の家具たちを構成する木材のうちの
多くはこの「無垢材」を使用しています。
特にテーブルや椅子などの木製家具のうち
天板や外装フレームなどには
ほとんどの家具に「無垢材」を使用しています。

ただし、無垢材は自然素材ならではの
「反り」や「割れ」がどうしても発生します。
木は、自身の水分量を調節するために呼吸をしています。
息を吸って吐く動作の様に、至る所で収縮と膨張を
繰り返します。その木の動きの結果が
「反り」や「割れ」として出てくるのです。

そのため、室温や湿度は一定に保つ、
水拭きしない、洗剤やアルコールを使用しない、
定期的にオイルを塗り直す、などの
日常的な注意やメンテナンスが必要になります。
その特徴をしっかり理解した上で使わないと
反りや割れをより引き起こしやすくなってしまいます。

また、そういった自然現象をある程度受け入れる
覚悟のようなものも、無垢材の家具を取り入れる際に
ある意味で必要な心構えと言えますね。


続いては「突板(つきいた)」

画像の板は「フラッシュ構造」の突板化粧合板です。

知らない人が見れば無垢材と区別がつきにくいですが
実は、表面だけ0.数ミリ程度に剥いだ薄皮のような
木材を別の構造体に貼り付けて天板状にしています。
画像は内部構造をわかりやすくするために、
断面が露出された板を使って撮影しています。
この0.数ミリの薄い材のことを「突板」と言います。
この薄さではもはや「板」と言うより「紙」が近いですが
分類上は「板」として扱っています。
大きなノミのような道具で木材を突いて薄く剥いでいく
ことから「突板」と呼ばれるようになりました。

そして、「突板」や、木目調に印刷された「プリント紙」
などを表面に貼った板状の構造物のことを
総称して「化粧合板」と言います。

化粧合板の内部構造は物によって様々で、
細い木を「日」や「目」や「田」などの形に組んで
表裏をベニヤ板で挟んだ「フラッシュ構造」や
木の屑をコルクの様に圧着し固めた「バーティクルボード」
木の粉を同様に圧着し固めた「MDF」などが
その代表格で、用途や特徴に合わせて組み合わせる
内部構造が決まります。(詳細は割愛します)
ちなみに、画像の板は「フラッシュ構造」です。

突板を使った天板の最も良いところの一つは、
「低コストで高級感を出せる事」
だと思っています。

突板であれば0.数ミリだけの薄さがあれば
大きなダイニングテーブルも作れてしまいますので
ウォルナットなどの高級な木材(=美しい木目)を
手軽な価格で楽しむことができます。

無垢材に比べて原料コストは大幅に抑えられますが、
木材を切り出すだけの無垢材に比べて、合板にするまでの
作業の工程は意外と多く複雑、つまり人件費がかかります。
実は、「国産」で「受注生産」の場合は化粧合板は割高です。
場合によっては、無垢材と変わらない見積になる時も。

そのため、人件費の低い海外で大量生産される
低価格帯の家具などに多く採用される傾向にあります。
そうなれば人件費も大きく削減できますよね。

これだけ読むと「突板」や「化粧合板」は
単なる「チープな素材」というレッテルを
貼られてしまいがちで、実際「突板は嫌だ」と当店に
ご相談に来られるお客様も少なくありません。
そのお気持ちも大変よく分かりますし、実際私も
ダイニングテーブルに関しては無垢材以外考えられません。

しかし、それは突板を無垢材の「代替品」として、
突板を二次的な物として捉えた時の話です。
使い方次第では突板も素晴らしい素材です。
ここでは突板の魅力も伝えたいと思います。

家具の場合であれば、例えばテレビ台の扉。


こちらのTV台の扉、一見すると木で出来た扉で
リモコンの電波は通らなさそうですが、
実は表面に突板を貼ったガラスなのです。

扉のガラスに突板を貼れば、木目を楽しみつつ
リモコンの電波も通すことができます。
これは突板の薄さがあってこそ可能な事です。

こう見ると、れっきとした機能であり、
高い技術がしっかり活かされていますよね。


家具だけでなく、雑貨や照明などでも
突板の魅力が活かされている場合があります。

照明作家「谷俊幸」氏の照明作品「Don-2-wood」

以前紹介した谷俊幸氏の照明作品です。
この作品も綺麗なさくらの突板を使用して、
木目の美しさを光に通して楽しめる
とても秀逸な作品に仕上がっています。
この表情は光を通すレベルにまで
薄くした突板にしか出せません。

無垢材も突板も、
用途や使用する場面によっては
向き不向きが明確に分かれます。

家具の全てを無垢材にしようとしたり、
突板の全てを問題視するのではなく、
TPOに合わせた素材選びをすることで
本当の良い暮らしが待っていると
私たちは考えています。

当店にご相談いただければ、
無垢材、突板、に関わらずですが、
良くも悪くも家具の「ホントのトコロ」を
お客様にお伝えしつつ、お客様にとってベストな
選択を共有できるように精進いたします。


長くなりましたが、
これで今回は以上とさせていただきます。

次回は、「木の特徴や性質」について
説明したいと思いますのでご期待ください。


それでは、また。

BRIDGE WORKS 宮地 康行
 
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