[COLUMN] Bridge Note

2018/06/15

デニム布地を織るということ②

今日のテーマは『デニムの製織工程』

インディゴに染色された縦糸と
白い綿糸を綾織り※にしていきます。

※綾織(あやおり)
縦糸が2本ないし3本の経糸の上を越えて
1本の経糸の下を通過する織り方。

▶︎綾織。
別名、斜文織(しゃもんおり)とも言われ
綾目(斜文線)を斜めに表します。
生地の表面はタテ糸の割合が多く
デニム地の表面がインディゴ色なのはこの為です。



まず、染色されたインディゴ糸を
織機にセッティングするため再度整経され
ビームという糸巻きに巻かれていきます。


▶︎染色されたインディゴ糸の整経工程


▶︎しっかり人の目で糸に乱れがないか
1本1本チェックされます。

整経工程が終わると、今度はビームに巻かれた
縦糸を織機(しょっき)にセッティングします。


▶︎織機にセッティングされるインディゴ糸

ここでの作業が非常に手間がかかります。
ワンタッチでセッティングできるわけではなく
縦糸を一本一本、手作業でセッティングしていきます。

いわゆる『綜絖通し』という工程です。

綜絖(そうこう)」とは、織機にある
針がねの様なパーツで、一本一本の中央部分に
糸を通すための小さな穴が空いており
縦糸を互いに上下運動させ、経糸を通す際の
杼(ひ)の通り道(杼道)を作るのに使われます。

私たちがソファに採用している
18オンスデニムの布地幅は約154cm。

縦糸は、布地幅5mmあたりに
約10~12本ありますので、1540mmだと
単純計算でも3000本以上の縦糸をセットする
必要があり、それを全て手作業で通していきます。

『綜絖通し』にはその工程の専門の職人がおり
その職人の手にかかっても、ほぼ1日がかりの作業です。


▶︎綜絖通しの様子

横糸のセッティングが終わればようやく前準備完了。
いよいよ織機を稼働させます。

織機の種類には、様々な種類がありますが
私が知っている限りでも5種類あり

・シャトル織機
・レピア織機
・エアジェット織機
・ウォータージェット織機
・ジャガード織機 などなど。

以下の動画はデニム工場の織機達の様子です。
ここに並ぶ織機は上記のうちレピア織機が多いです。


▶︎リズミカルな音を立ててデニム地を織る織機達。
『シャカシャカ...』と、こちらまでその音につられそうになります。


▶︎ここの織機に見られる『TOYODA』の文字。
トヨタ自動車の前身、『株式会社豊田自動織機製作所』製。


織機による製織が終わると完成。
....ではありません。

『整理加工』という大事な工程があります。
生地を最終仕上げする工程です。

商品によって加工方法は異なりますが
表面のケバを取る『毛焼き』
生地の風合を調整する『糊抜き』など
様々な加工が施されます。


▶︎整理加工『サンフォライズ』、水蒸気を当て
積極的に布地を収縮させる事で防縮加工を行います。

整理加工を終えると最後は『検反』
間違いなく商品ができたかどうか
チェックする必要があります。


▶︎検反の様子。
1反およそ50m。最初から最後まで全て人の目で
ほつれや乱れがないかをチェックしていきます。


検反を終えた布地達はようやく出荷準備。
素材を必要とするそれぞれの工場に運ばれます。

▶︎整然と並べられたデニム布地

ここまでがデニム布地の製織工程です。

家具の工程というのは、家具だけでなく
素材を作る工程も含めてだといつも感じていて
ここを知る事で、これまでの〝モノ〟への見方が
必ず変わるはず。

ただ単に、そこにある『モノ』を使うだけでなく
その『向こう側』にある人や土地、汗といったコトを
少しでも感じられる機会が身近にあれば....
安心感や愛着という『価値』につながると。

モノに溢れ、使っては捨て、使っては捨てが
繰り返されていくこの時代。

私たちは、自分たちの仕事を通して
〝モノを使う〟という事への意識
を少しでも変えたい。

その役割は私たちにあると思っています。

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