[COLUMN] Bridge Note

2023/05/05

当店イチオシの定番生地! 「倉敷帆布」の製造過程

こんにちは、宮地です。

ゴールデンウィークも後半にさしかかり、
帰省ラッシュもそろそろピークだそうですが、
皆様いかがお過ごしでしょうか。

数日前、テレビのニュースで見ましたが、
和歌山県の白良浜では、日本で1番早い海開きが
あったそうです。

ビーチの手前に長ーい紅白のテープを張って、
新幹線の開通式のテープカットさながら、老若男女が
海に向かって全軍突撃をかましていました。


まだ寒いんじゃないの?


という心配もありますが、コロナで色々と規制があった中
ようやく、ということを考えると、
とても良いニュースだと思いました。

そういえば、最後に海に行ったのいつだったかな?
10年近く行ってないような気がします。

私にはコロナはあまり関係なかったみたいですね。



さて、そんな出不精の宮地ですが、
重い腰を上げ、ようやく本題に入ります。

以前、岡山県産のデニムのソファを紹介しましたが、
今回は、当店のソファやチェアのカバーなどに使われる
生地の中でも特に人気のある「倉敷帆布」について
紹介したいと思います。

倉敷帆布、いわゆる「キャンパス生地」ですね。
デニムと同じ岡山県が誇る、とても上質な帆布です。
当店でもThe sofaをはじめ、いろいろな商品に
展示品として採用しています。

The sofa ウッドアーム 3P 帆布(オールドカーキ)  ウォルナット材

その名の通り、強い風を受けて重い船を動かす
帆船のマストに使われていた生地なので、
頑丈で水にも強いのが最大の特長です。
綺麗に染まるため、カラーバリエーションが豊富なのも
嬉しい特長です。当店では全部で100色ある内の
一部の色を定番として取り扱っております。

生地の厚みは1号~11号まであり、
番号が少ない程厚くなります。
バッグや靴などの一般的な製品に使われるのは
8~11号の帆布がほとんどで、当店の帆布は
椅子張りとしてほどよい厚さの8号帆布を
採用しています。

7号以上は、雑貨や小物類に使うには厚すぎるので、
製品向けの中では8号が最も厚いと言えるかもしれません。

癖のないシンプルな平織りの生地ですので
割とどんな椅子・ソファでも嫌味なく馴染んでくれます。
※縦糸と横糸を交互に規則正しく織るシンプルな織り方。

経年変化を楽しめるのも帆布の楽しみのひとつです。
使い込むうちに柔らかくなっていきますので
ソファに張れば、少しずつお家に馴染んでくれます。
また、少しずつ色も薄く変化していきますので、
使い込むほど味が出て来ます。

綿100%なので水洗い(手洗い推奨)も可能ですが、
天日干しも相まって色落ちを早めますので、
ゆっくりと変化を楽しみたい場合は、
あまり頻繁に洗うのではなく、
年に1回~数回程度にとどめておきましょう。

日焼けも色褪せの原因となりますので、
太陽の光が当たる場所に置かれる場合は、
なるべく日中はカーテンを閉めるなど、
可能な限り日光を当てないようにしましょう。
ソファの座面や背もたれが置きクッションの場合、
クッションの配置を定期的に交換して
色褪せのバランスを保つのも効果的です。

倉敷帆布の特徴や注意点は以上です。
ここからは、帆布の工場の様子をご紹介します。
画像は、数年前に倉敷の工場見学に行った際のものです。
全ての工程を完璧に撮影したわけではありませんが、
よろしければ見ていってください。






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紡績されて来たばかりの糸(原糸)を数本束ねて
1本の糸にする「合糸(ごうし)」と呼ばれる工程です。

合糸の際に合わせる糸の本数で
帆布の厚み(号数)が決まります。

その後、合わせた糸をねじる「撚糸(ねんし)」という
工程を経て、糸に強度を持たせ、毛羽立ちも防ぎます。






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撚糸が終わった糸を織機(しょっき)に通すために
数百本の糸をまとめ、きれいに整える
「整経(せいけい)」と言われる工程です。

整経が終わった糸は「ビーム」と呼ばれる大きなロールに
巻かれて織機に通されるのを待ちます。





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「経通し(へとおし)」と呼ばれる作業。
ビームに巻かれた経糸(たていと)を織機のパーツに
1本1本「手作業で」通していきます。
ベテランの職人さんでも織機1機分の経糸(数百本)を
全て通すのに数時間から半日かかるそうです。





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織機で生地を織っていく「製織(せいしょく)」という工程。
使用する織機は古くからある「シャトル織機」という機械。
工場の方曰く、最新式の織機は「正確すぎる」のだそう。
確かに整って綺麗なのですが、面白みが無いそうです。
最新式に比べて格段に遅く、非効率ではありますが、
昔ながらの織機にしか出せない、良い意味でムラのある
独特の味わいや美しさを追求したい、ということで
今でも修理しながら、大切に大切に使い続けているそうです。






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仕上がった帆布は一定の長さの単位(数十m)でカットし、
「検反機(けんたんき)」にかけられ、傷やほつれがないか
機械で流しながらチェックする、「流し検反」という工程。

その後、1mごとに畳みこんでいき、今度は人の目で
厳しくチェック、必要に応じて補修をし、
終わったら糸くずなどを綺麗に掃除します。

全てが終わるとロールに綺麗に巻かれて完成です。


長くなりましたが、今回はこれで以上です。

1本の帆布を作るのに、とんでもない量の
お仕事が隠れていましたね。

もちろん帆布だけではありませんが、
こういったものづくりの現場の方々のおかげで
私たちの生活が成り立っているのだと思うと
頭が下がります。時には危険なこともありますから。

いつもありがとうございます。

高い技術に裏打ちされた、確かな品質を
今後も追求していきたいと思います。


それでは、また。

BRIDGE WORKS 宮地 康行
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