[COLUMN] Bridge Note

2023/03/10

-影と光の融合- 照明作家・谷俊幸の世界 前編

こんにちは、宮地です。


急に暖かくなりましたね。
つい最近まで割としっかり寒かったので
上着の選択を完全に見誤った私は昨日の朝
ダウンを着て自転車で外出・・・。
なかなかの発汗でございましたが
何とか用事を終え帰宅。
まるで初夏のような体の火照り具合でした。
また寒くなったりするんだろうなぁ。
嫌だなぁ、怖いなぁ。(怪談風)

いよいよ衣替えのタイミングに悩み出す季節が
やって来ておりますよ。

私のように、
暖かいのに間違えてダウンを着てしまわないように。
また、寒いのに半袖で出かけてしまわないように。

ゆめゆめお忘れなきよう・・・。



さて、そんな体がポカポカな宮地が今回ご紹介するのは、
素敵な照明作品たちです。

「谷俊幸」さんという照明作家を
皆様ご存知でしょうか?

日本の伝統工芸技術をご自身の照明作品に活かし、
また一部の照明をご自身で作る職人でもあるという、
世界でもその作品が認められている照明作家さんです。

当店にもちょくちょく顔を出しに来ていただいており
その度に素敵なお人柄とお茶目なトークで
いつもほっこりさせていただいております。

彼が照明作りにおいて大切にしていることは
「光と遊ぶ」ということ。

火を扱う特権を手にした人間ならではの
「影と光」による最大限の「遊び」。
それを形にした物が、谷俊幸氏の照明作品たちです。

夜中を照らす灯りから始まった照明器具の歴史。
ただ物を照らすだけでは無い、影と光の二重奏とも言える
照明作家・谷俊幸の技術と感性をお楽しみください。

当店に展示している谷氏の作品は、全てとなると
ブログサイズでは長くなり過ぎて載せきれないので、
今回は前編と後編に分けてお送りしたいと思います。


まずはこちら

 "Hokore"   ※画像は谷氏HPより抜粋


静岡県に伝わる駿河竹千筋細工。
本来は虫かごや行灯などを竹のみで作り、
日用品の中に様々な模様を
竹で描きながら編み込む伝統工芸です。

満開の花、などとよく耳にしますが、そうではなく、
花の蕾がまさに咲き誇ろうとする力強さ。
それを誇りたいと感じる、という感性から
「誇れ (Hokore)」と名がつきました。
満開の一歩手前の瞬間を切り取った名作です。

"Hokore"に使用される竹ひごの数は約1800本ほど。
直径1~2mmの細長い「ひご」から作るのはもちろん
それらを手で組んでいく技術の繊細さは
やれと言われて出来るものではありません。

竹ひごも使い込んでくると徐々に飴色に変化していきます。
当店の"Hokore"も当店にやってきてそろそろ4年ほど
になろうとしていますが、先日谷さんが来店された時は
「良い味になってますね」としみじみ眺めておられました。
これからさらに濃い飴色になっていくそうです。楽しみ。

続いて、同じく竹千筋細工より。

"Sen"   ※画像は谷氏HPより抜粋

こちらも"Hokore"と同じ技術で生み出された作品で、
繊細の「繊」、竹千筋細工の「千」、影と光が生む「線」
それぞれの「せん」から"Sen"と名付けられました。


営業時間外の店内で撮った"SEN"。

暗いからこそ壁にハッキリと映し出される
影がなんとも幻想的で、いつまでも見ていられそう。

谷氏曰く「影で酒が呑める」そうです。
ホント、共感しかありません。
まだ我が家には谷氏の作品はありませんが、
いつかは彼の作品をひとつ購入して、
作品以外の照明を全て消して、薄暗い中で、
その影を肴にウィスキーを楽しみたいと思っています。


続いてはこちら

"Ron" (侖) ※画像は谷氏HPより抜粋

"語る"という意味をもつ
「侖(ろん)」という字から生まれた作品。
提灯の日本3大産地と言われる水戸の技術と、
"Hokore"や"Sen"と同じ駿河竹千筋細工の技術が
絶妙な融合を果たした逸品です。

本来はしなやかな竹ひごの特性を生かして
円形に曲げた竹製のひごを提灯に使用するのですが、
"Ron"の和紙部分のみPET素材のひごを使用することで
ひご自体から出る影を抑え、くどさを軽減しました。


上下の竹ひご部分は、竹ひごの醍醐味とも言える
しなやかな特性をあえて使わず、まっすぐな竹ひごの
直線の並び方だけで柔らかさを表現するという
誰も思いつかなさそうな思い切りのあるデザインに。


そして、もうひとつ、"Ron"の驚きの特徴がこちら


真ん中の提灯部分と上下の竹ひご部分は分離可能で、
提灯部分をひっくり返すことで、また違ったデザインを
楽しむことが出来ます。着脱も簡単です。


今回は以上です。

まだ半分くらい残っていますので
続きは次回、ということで。

谷俊幸氏の照明ブログ後半はこちら


それでは、また。

BRIDGE WORKS  宮地 康行
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