[COLUMN] Bridge Note

2023/09/01

-うすはり-  水すら「うまい」と感じる薄さ0.9mmグラスの口当たり

こんにちは、宮地です。


ついに9月になりました。
暦上は秋になるわけですが、まだまだあt
もういいですね、暑さの話は。
この前散々したところだ。

ささっと本題に入りましょう!


さて、今回は
珍しく食器を紹介したいと思います。
その名も「うすはり」


「うすはり」は多くの高級料亭や
Barなどで採用されています。




このところ結構話題になってきておりまして、
少し前にも、アメトーークでかまいたちの濱家さんが
「宅飲み芸人」の中で紹介されていましたね。

「うすはり」というグラス、
単純に言えばとてつもなく薄く作られたグラスで、
その薄さは驚異の0.9mm!!
ご自宅にある適当なコップのフチを見てみてください。
0.9mmがいかに薄いかが分かるはずです。

左がうすはり、右が他社製の一般的なグラス。厚みが少なくとも倍は違います。

グラスが薄いと何がどう違うのか。
その秘密は「口当たり」にあります。
グラスが唇に触れる面積が極端に少ないので、
液体が直接口の中に入ってくるような感覚があります。

液体の方からふわふわ浮かんで直接口に入ってくれる、
そんな事は普通できませんが、それに近い感覚だと思います。
うぃんがーでぃあm・・・


そんな「うすはり」をもってすれば、
普通の水でさえ「うまい」と感じる。
そんな口当たりだと思います。

当然、水自体には味も何も無いのですが、
やはりその口当たりと、舌に感じる滑らかさの
違いで「おいしい」と思えてしまうんですよね。

ゴクゴク喉越し、サクサク歯応え、などなど、
「食感」という感覚も、味を決定づける
立派な要素である、ということですね。


どうしてここまで薄くできるのか?
この「うすはり」、「松徳硝子株式会社」さんが
製造するグラスで、元々電球用のガラス製造を
主な業務とされており、「うすはり」には
電球を作る際の技術が応用されています。

電球用ガラスが薄く均一でなければならない理由は
「薄く均一な方が温度変化で割れにくいから」だそうで、
常に中でフィラメントが高温で燃えている電球内。
薄いガラスを製造する技術が求められたそうです。

今はLEDが主流になっていますが、大袈裟に言うなら、
焚き火から始まった照明の歴史。つい20年前までは、
物を燃やして灯りを得るのが常識でしたから。
LEDでも電球のガラスが薄いのは、その名残、というか
必要に迫られて開発された確かな技術だと言うことです。


本題に戻ります。

おそらく、皆様が気になっているのは、
その薄さ故の耐久性、だと思います。
残念ながら、一般的な厚みのあるグラスと比べると
どうしても弱いと言わざるを得ません。
一度だけ「うすはり」を割ってしまったことがありますが
すごく軽い音で割れた記憶があります。
「パリン」というより「シャリン」という感じ。

ただ、
薄いだけにしなりがありますので、案外耐えてくれます。
腫れ物に触るように扱う必要はないかもしれません。
それこそ電球を扱うのと同じような感覚で大丈夫かと。
とは言え、大切には扱ってあげてくださいね。


もう一つ、重要なのはその名前。
「うすはり」というのは登録商標、つまり商品名です。
単純に「ものすごく薄いグラス」のことを広く指す、
というわけではありません。


「うすはり」が「うすはり」である証の一つとして、
商品に貼られているこのステッカー。
厳密に言えば「松徳硝子」製であることの証です。
「うすはり」に限らず「松徳硝子」の食器全てに
貼られています。

どこかのお店によく似た薄いグラスがあったとしても、
薄さが1mm以上あったり、底が厚かったりすると、
本物の「うすはり」かどうか怪しいですね。
そんな時はこのステッカーの有無を一つの
基準にしましょう。商品に貼っていなければ、
少なくとも「松徳硝子」製ではないということになります。
その時点で「うすはり」ではありませんのでご注意を。


これは余談なんですけど、
濱家さんはこのステッカーを剥がさずに使っているそう。
その気持ち、すごくよく分かります。
私は剥がして使っていまs


最後に、「うすはり」の製造工程を少しだけ紹介します。
以前、スタッフが実際に工場見学に行った際の画像です。



これが型です。この型にガラスを入れて膨らませます。


熱したガラスを取り出します。


少し膨らませたガラスを型の中へ。


絶妙な加減で膨らませます。


取り出したグラス。飲み口は後で切り取ります。


切り込みを入れた部分をバーナーで炙り、切り取ります。


飲み口を平らに削り、磨いて完成!


だいぶ工程はハショリましたが、大体こんな感じです。
いかがですか?俄然興味が湧いてきたのでは?

私も「うすはり」で日々ウィスキーを飲んでいますが、
口当たりがとにかく良くて、同じ飲み物でこうも
違うのか、と感動しています。

「うすはり」に少しでもご興味のある方は
是非当店に見に来てみてください。

試飲はできませんが、
実際に手に取って見ることができます。
※現在全品長期欠品中の為展示はありません・・・。


あなたはうすはりで何を飲みますか?


それでは、また。

BRIDGE WORKS 宮地 康行
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