[COLUMN] Bridge Note

2023/02/24

使いにくいのがむしろイイ!! クラフト天板の魅力

こんにちは、宮地です。

いよいよあの宿敵、花粉が舞い降りる季節となりました。
皆様対策はお済みですか?

私もまだ軽度とは言え花粉症なのですが、
鼻水が本当に辛い。かゆい。もはや痛い。
薬を飲み忘れた時なんかはもう・・・ね?
twitterが普及しきった現代、表現には事欠きませんよ。

「ティッシュが友達」に始まり(?)
「鼻に蛇口がついたよう」とか、
「鼻を丸ごと取って洗いたい」とか、

いろいろ言われておりますが、
私もひとつ、そういった表現で、流行りそうだけど
誰もしていなさそうな花粉症の言い回しをひとつ。


「くしゃい」 ( くしゃみ凄いの略 )


いかがですか?地味ですか?そうですか。

コメント欄があれば判定を募集したいところですが、
そんな機能もこのブログには特にございませんので、
今回は私の不戦勝とさせていただきます。
汚い話題失礼いたしました。


さて、そんなくしゃい宮地がご紹介するのは、
当店でも人気の「クラフト天板」について。
ナチュラルでワイルドな天板を解説します。

本来、テーブル用に製造する天板は、
可能な限り使い易いフラットな天板を使用するのが一般的です。

画像:フラット天板の一例(カスタマイズデスク)

上の画像のような天板を当店では「フラット天板」と呼び、
複数枚の細い板を接ぎ(はぎ)合せて一枚の天板にします。
凹凸などは一切なく、手触りもさらさらすべすべ。
「天然木のテーブル」と聞いて、おそらく多くの方が
こういったフラットな天板を想像されることでしょう。
当店でも、「フラット天板」を基本の天板としております。


当店で扱う「クラフト天板」は
そもそもの考え方が違います。

それは、

「木材が本来持つ素材感をありのままに表現している」

ということです。


画像:ナラ(楢)材(北海道産)のクラフト天板



使いやすさや利便性はまさに二の次。
板を切り出す際に使うノコギリの跡も「一部」残しますので
所々凹凸だらけ。平坦な部分などありません。

この天板の上で物を書いたり勉強などが向かないことは
言うまでもありませんね。でも、それが良いのです。
そう言い切れる魅力をお伝えします。

先ほど書いた、
ノコギリの跡を「一部」残すとはどういうことなのか?
そこが職人さんの技術が光るポイントです。

画像:ウォルナット材のクラフト天板


木目の方向と垂直に走る線のような凹凸、
これがノコギリの跡です。大きな機械を使って原木から
切り出した直後の部材全てに、このノコギリ跡がつきます。

「フラット天板」を作る場合は、
大きな研磨機に天板ごと通して、このノコギリの跡を
「全て」綺麗さっぱり削りとってフラットに仕上げます。
私も工場見学でその工程を見学させてもらいましたが、
この間数秒です。シュレッダーのようなスピードで
天板が飲み込まれ、一瞬でフラットに仕上げられます。

しかし、「クラフト天板」の場合は、この跡を全ては
削り取らずに、あえて一部分だけを「選んで」残しています。
どの部分を残すかは、職人さんの経験とセンス次第。
適当に削っている訳ではないんですね。
つまり、天板に小さな研磨機を部分的に当てて、
少しずつ、丁寧に削ってこの凹凸を「表現」している訳です。



クラフト天板にはもうひとつ特徴があります。
それは、「節」や「虫喰い跡」と言った、
いわゆる「ナチュラルマーク」があること。
たまたまあるのでなく、ちゃんと「デザイン」として
職人さんが配置している、と言う点が大きな違いです。

「節」とは、簡単に言うと「枝の根元の断面」です。
木には当然枝がたくさん生えていますよね。
その枝の根元を巻き込む形で素材を切り出すと、
木目とは明らかに違う、円状の模様が現れます。

これが「節」です。時には「割れ」が生じていたりも。
当然その「割れ」もデザインのひとつ。


「虫喰い」とは、その名の通り、
虫が木の内部を食べ進んだ跡の事を言います。
アリの巣のような物が木の内部にできたとお考えください。

画像中央の小さな細長い穴。これが「虫喰い」です
長いものだと数十cmも天板に現れることも。

これらの「ナチュラルマーク」は、本来は「欠点」として
避けられる対象となることがほとんどです。
「綺麗な木目」を目指す場合に美観を損なうためです。
しかし、理論上これらが全く無い木などは存在しません。
そんな中から、より良い木材として流通させようとすると
木材として切り出す際に選り分けられることになります。
節の大きさや量、さらには木目の美しさなどによって
同じ木材でもランク分けがなされていきます。

牛肉でいう所の「A5ランク」みたいな話ですね。
スーパーで並ぶ切り落とし肉から最高級霜降り和牛まで、
まさにピンからキリまで価格の差があるように、
木材にもそういうランク付けがあるのです。
高級な家具などは当然、ランクの高い木が
使われている場合がほとんどです。
もちろん、当店の商品にも使っています。

少々話が逸れましたが、「クラフト天板」には
敢えて節や虫喰いをふんだんに使います。
さらには、ノコギリの跡と同様に、
「どの位置に節や虫喰いを配置するのか」を、
天板を接ぎ合わせる時に、職人さんが
板全体のバランスを見て、節や虫喰いを振り分けます。
これも、経験とセンスが活かされるポイントですね。

その技術の高さと繊細さはやはりとても貴重で、
「フラット天板」を普段担当している職人さんが
「クラフト天板」の工場を見学した際に
「これはマネできない」と脱帽したほどだそうです。

先ほど書いたとおり、素材としては確かにランクの低い
木材となってはしまいますが、それらを再び輝かせる
職人さんの技や手間暇が「クラフト天板」の価値を
高めてくれている要因の大きなひとつになっています。


クラフトダイニングテーブル
W1800×D850×H700 (mm)
天板:ナラ(楢)材  脚:アイアン


そうして出来上がったクラフトダイニングテーブルは
当店でも絶賛展示中です。もちろん、テーブルだけでなく
デスクやカウンター用の天板にもオーダー可能です。
その木が生きた「証」を感じてみてください。

ごつごつしたその力強い天板は、
丁寧に使っていただくのはもちろん大歓迎ですが、
傷や染み・汚れなどは敢えて気にせずに
ガンガン使い倒すのもまた一つのライフスタイル
と言えるかもしれません。

そうして付いた傷や染みが、
クラフトテーブルの味となり、思い出になり、
新しく刻まれる世界に一つだけの「デザイン」に
なってくれるかもしれませんよ。

そして時にはオイルや蜜蝋を塗ってあげて、
その美しさを保ってあげましょう。


今回は以上です。

次回は、そんなクラフト天板を使った新商品を
紹介したいと思います。



それでは、また。


BRIDGE WORKS 宮地 康行
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